2017年のアンナプルナベースキャンプや、エベレスト街道トレッキングでは、大抵の時間を一人で過ごしていた私。
特に、他のトレッカーと一緒に過ごしたり、話したり、というのはそれほど多くはありませんでした。
しかし、今回2018年のアンナプルナベースキャンプでは、いつの間にか大部分を一緒に過ごすことになったトレッカー達がいました。
国もバラバラ、年齢もバラバラ、みんなソロトレッカーの集まりで、くっついたり離れたりもしたけど、大部分の日を同じロッジで過ごしました。
それが、とても楽しくて。
今回はこうして、人と一緒に過ごす楽しさを味わった旅となりました。
最初に出会ったのはカナダ人のベン。
ポカラからベジサハールまでのバスで、私が先に乗り込んでいて、もうだいぶ席が埋まってしまった頃、
「隣空いてる?」
と聞いてきたのがベン。
「どうぞどうぞ」
なんとなく会話が始まる。
旅好きなベン。これまで44カ国も訪れているそう。去年日本に来たということで日本の食べ物の話で盛り上がる。
お寿司屋さんに入った時に、全然英語が話せない日本人のおじさんが日本語で話しかけてきて、一緒にお酒を飲んで楽しかった、という話をしてくれました。ベンは日本語はわからないし、おじさんは英語はわからないのに気にせずガンガン話しかけてくるおじさんに感動したみたい。
とっても日本が気に入ったようで、今までで訪れた国で好きな国の第3位だそう!
そんな感じで、時々話しながら楽しい時間でした。
次に会ったのはドイツ人のアヒム。
同じく、ポカラからベジサハールまでのバスのトイレ休憩の時に、外にいたら「日本人?」と話しかけてきてくれました。
アヒムは昔日本に留学していたことがあるということで、日本語を少し話せる。日本人を見かけて懐かしくなって、話しかけたかったみたい。
そして、アヒムと一緒にいたアルゼンチン人のローラ。もともと二人は別々だったが、カトマンズで出会って一緒にトレッキングすることにしたそう。
バスがベシサハールに到着すると、バタバタと各自が荷物をとって出発しました。
ベジサハールから歩くこともできるし、その次のブルブレまでバスやジープで行ってそこから歩くこともできます。
私はブルブレまではバスで行こうと思い、バスを待つことにしました。
ベジサハールに着いたのが11時。バスは30分おきということで次のバスは11:30のようでしたが、別の人は12時という。
どちらが本当かわかりませんでしたが、お腹も空いたことだし、お昼を食べて待つことにしました。
お昼を注文して待っていると、アヒムとローラがやってきて、彼らもバスを待っているという。
なぜか今日は30分経っても1時間経ってもバスが来ません。
待ちくたびれて、やってきたジープで行くことにしました(ジープはバスより少し高い)。アヒムとローラはもう少しバスを待ってみると言って残りました。
そして、ブルブレから1時間だけ歩き、今日はンガディという村に泊まることに。
ロッジの客引きが積極的。庭のお花がきれいなSky High Guest Houseに荷物を下ろします。
まだお客さんは誰もいなくて、私は好きな部屋を選び(どれも一緒なんだけど)、シャワーを浴びて外でお茶をしながら本を読んでいました。
すると、ベンが歩いているのが見えます。
思わず駆け寄り、今日はここに泊まるよ!というと、じゃあ、自分達もそうしようかなという感じで中に入ってきました。
ベンと一緒に歩いていたのがヤルティ。彼らは同じザックを背負っていたので、なんとなく一緒に歩くことになったのかな、なんて思いました。そしてすぐにアヒムとローラもやってきて、結局みんなこのロッジに泊まることになりました。
こうして私は彼ら4人と出会いました。
小さな宿で、かつ、お客は私たちだけだったので、夕食は皆一緒に食べました。軽くお互いの自己紹介をするものの、まだよそよそしい。
明日はどこまで行く予定か、何時に出発するのかなど話してそれぞれの部屋に戻りました。
このロッジは5日ぶりのお客さんだったらしい。
久しぶりのお客に宿の主人は大喜び。しかも、私のおかげで4人も増えたと大喜び。「あなたが幸運を運んでくれた」とまで言ってくれ、食後にお茶をサービスしてくれました。よっぽど嬉しかったんだなぁ。5人が朝・夜と2食の食事をすればそれなりの金額になります。現金収入は貴重なのだ。
2日目、私は一人で先に出発。
私は朝早く歩き始めるのが好き。と言っても7時半すぎなので、日本の山と比べたら遅いですが、海外のトレッカーは大抵8時くらいに出発している。
途中でベンとヤルティに追いつかれ、追い抜かされました。
彼らは2人とも身長が190cmくらいあって、155cmの私とは足の長さが違いすぎます。私が小走りしないと追いつけない。
その後は休憩している彼らに会ったり、また離れたりという感じで歩いていました。
この日の宿泊地に到着すると、先に着いて庭で洗濯をしていたベンが手を振って合図をしてくれました。
夕方になってアヒムとローラも到着し、ちょうど2人が見えたので外で出迎えます。
こうして、なんとなく私たちは休憩しているときに一緒になったり、昼食を食べている時に一緒になったりしながら、毎日同じロッジに泊まるようになりました。
村にはロッジがいくつかあるので、室内にいるとどこに泊まっているのか探し出すのは難しいのに、なぜかいつも誰かが外にいる時に、誰かがやってくる、という感じで必ず発見できるのが不思議でした。
それぞれがソロなので、各自が自由な感じが私には居心地が良い。
ペースが違うので、一緒に歩くことはあまりなかったですが、時々は一緒に歩いたり。
ローラはトレッキングに慣れているわけではなかったので、歩くのがゆっくりで、何日か後には泊まる村もずれてきてしまいましたが、それでもテリチョベースキャンプでは、湖から戻ってきてロッジで休憩していたところ、半日遅れでローラがやってきて久しぶりに再会できました。ローラはスニーカーで歩いていたが、途中から靴擦れしてサンダルで歩いていました。服装は普段着だし、防寒着も少ないし、リュックも超小さくて、寝袋は外にぶら下げて歩いていたので、大丈夫かと心配しましたが、それでもたくましく最後まで歩き切っていました。
アヒムは帰国日が決まっていたので、途中からローラと別れ、速度を上げ、トロンパスで再会し、その後また数日一緒に過ごしました。
気を使わなくて良い人たちだったので、居心地がよく、次第に彼らがいるという安心感が芽生えてきました。
ロッジに着いてからも、ダイニングで同じテーブルに集まって一緒に過ごすのですが、ベンは携帯をいじり(大抵のところがwifiが無料だった)、ヤルティは本を読み、私は日記を書いたり本を読んだり、とバラバラなことをしているのに、時々それぞれがやっていることに飽きてくると、みんなで何回もサイコロゲームをして、楽しい時間を過ごしました。まるで家族のような気楽さでした。
去年のトレッキングとは対照的です。
くだらないゲームも悪くないな、と思いました。
むしろ、私はこのくだらないゲームにはまり、ロッジに着いてからの楽しみになっていました。
最後まで私たちは「同じ宿に泊まろう」とか「一緒に歩こう」とか「ここで待ってる」というような言葉を交わすことはなく、まあ会えたら会いましょう的な雰囲気だったが(これも言葉にしたわけではない)、結局ベンとヤルティとは2日を除き最後まで一緒でした。
住んでる国も違うので、もうこの後は会うことがないかもしれないという、特別な時間。濃くて、幻のような時間。
今回の旅では、誰かと一緒という楽しさと安心を味わいました。
山好きの人にも、ネパールが好きな人にも、ネパールでトレッキングをしたい人にも、美しい世界を感じたい人にも、何かに挑戦したい人にもオススメです。
”こんなにも美しい大自然の中で、目一杯体を使い、五感をフル稼働させて体感した先にあったのは、自分への信頼と美しい地球に生きていることへの喜びだった”
詳細はこちらから
↓
女ひとりで26日間 ヒマラヤを歩いてみれば〜大自然と自分に繋がる旅〜