DAY7 バンブー(1910m)→トロシャブル(2200m)→シンゴンパ(3350m)
DAY8 シンゴンパ(3350m)→ラウレビナ(3910m)→ゴサインクンド(4380m)
DAY9 ゴサインクンド(4380m)→ラウレビナパス(4610m)→ゴプテ(3530m)
DAY7 バンブー(1910m)→トロシャブル(2200m)→シンゴンパ(3350m)
昨日のチベタンブレッドもおいしかったが、ここのチベタンブレッド も非常においしかった。
朝の森は植物のエネルギーが充満していて、ひんやりした湿度のある空気は、まるで水槽の中のようにうっすらとベールがかかっているようだ。まだ余裕があるので、数々の植物に目がいく。よく見るとちょこちょこと花が咲いている。ピンクの面白い花がかわいい。
Land slide Lodgeでなんとケーキを見つけてしまったので買うことにした。ケーキに目がなくなっている。300rp(300円)でサイズが大きいのも嬉しい。チョコレートケーキとアーモンドケーキがありどちらもおいしそうで迷ったけれど、ずっとチョコが食べたかったのでここはチョコレートケーキにした。おかなが空いたら食べよう!ついでにトイレも借りた。私の場合だが、標高が高いところへ行って下りてくると、浮腫んでいた水分が排出されだして、トイレが近くなる。
そして、ゴサインクンドへ行く分岐に到着すると、いよいよ登りが始まった。ここからはずーっと登りなのだ。1600m登ることになっている。いきなり道が荒れ始めて、通る人の少なさを感じた。途中で「トゥルシャブルでロッジをやっている」という男性とすれ違った。先ほどケーキを買ったロッジのオーナーでもあるらしい。やり手だなぁ。「wifiも充電も無料だから良かったらランチにでも寄って」とカードをくれた。「地震の後にロッジを建て直したからSmall businessでも助かるからよろしく」ということだった。良い感じの人だったのでお茶かランチに寄ってみようかな、という気持ちにさせられた。やっぱりやり手だなぁ。
分岐からの道を45分登り切ると視界がひらけてトゥルシャブルの村が見えてきた。思ったより大きな村だ。車道がある村のような規模に見える。直線距離だと近く感じるが、谷を越えるためにぐるっと回らなければならない。谷を渡る吊り橋があり、渡りきったところでケーキタイム!甘さ控えめでとってもおいしかった。おいしいケーキにありつけて嬉しい!思い返せばこれまでも山の中で食べたケーキはどれもおいしいかった。甘すぎず、素朴な感じで口に合った。
ここからトゥルシャブルの入口までは比較的すぐだったが、トゥルシャブルの村が見えてから、段々畑を通って村の上に道が続いているので、これが長かった。人が住んでいる村なのでロッジも超たくさんあり激戦区であることが伺える。それでwifiも充電も無料なのね。きれいなロッジも多い。日当たりも良いしこの村に泊まるのは良さそうだ。村の生活が垣間見れそうなのも面白そう。
やっと先ほど紹介されたGreen Tara Hotelにたどり着いたら若い奥さんと2歳の女の子がいた。この子がかわいくて、姪っ子を思い出し恋しくなった。この後もまだまだ登りが続くのでダルバートで満腹にするのはやめ、Veg. Fried Rice。1週間ぶりにwifiが繋がった。
食べ終わっていざ出発したが、すぐに隣のロッジのおじちゃんから声がかかった。「ランチは?Teaは?」「今食べたばかり」と言うと「5分休んで行きなよ」と。「うーん、じゃあ」と立ち止まって少し話す。何世代も前の先祖がチベットからここに来たとのこと。みんなそうなんだね。お父さんはニンニクの皮むき、お母さんはベルトを編んでいた。
そして、「ランタンで外国人が殺されたから1人なら気をつけてね。誰かと会ったら一緒に歩きなさいね」と言われた。そういえば去年だか一昨年だかにそのような事件があったのを思い出した。私も何かで見た記憶がある。それでランタンに行くか迷ったことも同時に思い出した。そんなことはすっかり忘れていた。キャンジンゴンパ方面の時はそういう話は一切聞かなかったので、こちら(ゴサインクンド方面)で事件があったのかもしれない。
彼らに別れを告げ歩き出すと、またつかまってしまった。同じように「少し休んで行きなよ」となり、「みんなそう言うのよ」と困ったように言うと、「ホリデーなんだからゆっくりゆっくり」って。確かに的を得ている。そんなわけで、また少し話して先へ進む。
トゥルシャブルからは急な登りで疲れたのでDursagangのロッジでお茶休憩。ジンジャーティーがとってもおいしかった。ここからは1.5時間登りで1.5時間平坦な道とのこと。最後までずっと登りかと思っていたので、平坦な道もあるとわかって嬉しくなった。1.5時間の登りは松林の中で異空間な不思議な感じ。誰ともすれ違わないので、時々おじちゃんに言われた「気をつけて」が浮かんで、不安になりそうなのを追い払いながら進んだ。人に言われるまでは全く気にしていなかったけれど、言われると気になるものだ。だいぶ上の方まで来ると雪山が見え出した。
平坦な道になると、松とシャクナゲと苔の森でガスっていた。ガスっている森は幻想的だが、不安にさせる力が働く。やがてガスも取れ、視界がクリアになるとちょうど西陽が射していてとってもきれいだった。木漏れ日が美しい。シンゴンパの村に入った時、奥に雲海が広がり、ちょうど夕日が光っていてとてもきれいだった。
シンゴンパにはチーズファクトリーがあったので覗いてみる。チーズは作るのに半年かかるそうだ。チーズファクトリーの先にステキなロッジを見つけたので入って行ってみると、今までのロッジとは全く違うステキさに驚いてしまった。日本の山の中のペンションみたいな雰囲気だ。こぎれいだし、センスがいい。お花をバリみたいに水に浮かべていたのにも感動した。そして部屋も広くて角部屋で山が見えるし、清潔でとても良かったのでここに決めた。Hotel Red Panda。
奥さんが「火をつけるからダイニングにいらっしゃいね」と言ってくれた。この奥さんの甥っ子2人がやって来て、そのお兄ちゃんが英語がとても上手で質問攻めにあってしまった。お茶を飲んでいたらサンセットで空がきれいな色になって来たのでカメラを持って外へ。雲があるサンセットも神秘的で好きだ。私が夕食を食べ終わった頃、親戚だか近所の人だかが集まってきて、みんなでテレビを見始めた。一家団欒に混ざっちゃったみたいな感じだった。昨日は10人くらい泊まっていたらしいが、今日は私とネパリ3名のみで静かだ。
振り返ると、今日は色んな人と話した1日だった。そういえば今日は「人との関わりを楽しむ」という1日に設定したのだった。
DAY8 シンゴンパ(3350m)→ラウレビナ(3910m)→ゴサインクンド(4380m)
朝はまたもや雲海に覆われている。このロッジは珍しく部屋代はドネーション制だった。メニューにはロッジの成り立ちや、増築の歴史が書いてあったり、他のロッジとは一味も二味も異なるロッジであった。居心地良かったなぁ。最後に奥さんから「1人は危ないから誰かと会ったら一緒に行きなさい」と言われた。まただ!そう言われると、気にしちゃうじゃないか!!ゆっくりしていて良い村だったなぁ、と名残惜しみつつ出発。
Cholang Patiからは森林限界を超え、バーンと見晴らしが良くなった。ランタンリルン、ガネーシュヒマール、マナスルがズラーっと並ぶ。その向こうはもうチベットだ。何度も後ろを振り向きながら、ゆっくり登った。シンゴンパから1時間40分、ラウレビナ(3910m)に到着。
アップでどうぞ!
ランチを食べようとロッジへ行くと、先ほど一緒に休憩をしたフランス人夫婦とポーターがいた。ポーターのソナンが話しかけてくれて、私が「ゴサインクンドの後は、来た道は戻らずにパスを超えてカトマンズに帰る」と言うと、「その道はジャングルなので、一人だと危ないから一緒に行こう」と言ってくれた。フランス人夫婦も英語がほとんど話せないが、とてもフレンドリーで「一緒に行こう」と言ってくれた。おお、ありがたい。昨日から散々「誰かと一緒に行きなさい」と言われていたので、一緒に行かせてもらうことにした。
当初はこのラウレビナで泊まることを考えていた。高度順応するためにもここでの宿泊が勧められていたが、私はキャンジンリへ行っていた為、既に高度順応出来ており、この時体調もよかったのでゴサインクンドまで進むことにした。しかし、このラウレビナはこのルート上で最も景色が良いので、ここに泊まってサンセットやサンライズを楽しむのも良いだろうなと思う。
峠まで1時間の登り。ずーっと景色が良くて気持ちが良い。ゴサインクンドの周辺には108もの湖があると言われているが、まず1つ目の湖、Saraswati Kundが見えてきた。小さいけれど緑色できれいだった。その次の湖、Bhairab Kundはもっと大きくて、透明度が高かった。そしてその先にロッジが見えてきた。
ゴサインクンドに着くと、1軒目の宿のベンチにフランス人夫婦が座っていて、この宿しか開いていないことを教えてくれた。いまいちな部屋だったけれど、ここしか空いていないのなら仕方がない。ゴサインクンドには4、5軒ロッジがあるが、オフシーズンに入ろうとしている今の時期は交代でロッジ営業をしているそうだ。
私は荷物を置いてBhairab Kundの方へ散策に出かけた。意外にも誰も居らず、1人静かな時間を楽しんだ。
ロッジに戻ると、ダイニングでは暖炉を囲んでネパリ、ロッジのお兄さん、ガイド達、フランス人の奥さん、イスラエル人などと話をした。トレッカーがこの宿に集中しているので混んでいる。フランス人夫婦はネパールのトレッキングは6回目とのこと。ムスタンやマナスルにも行ったことがあり、ムスタンが良かったと言っていた。ムスタンはみんな良いと言う。
イスラエル人が「もっと薪をくべてくれ!寒すぎる!」と言うと、「薪は貴重なんだ!!」とロッジのお兄さんやソナンが怒っていた。この辺りは森林限界を超えていて木がないのでCholang Patから運んでいるらしい。あそこから運んでいる大変さがわかるか!と言う感じで怒っていた。そうだよね、と思わずなだめる私。このイスラエル人は言い方が悪かった。そして、ネパール人はプライドが高いので結構怒りやすい。暖炉があるだけマシだよ、ABCはなかったからね、と思う私。人は過酷な状況を体験している方が、心は広くなるし忍耐力がつく。
このロッジのお兄さんは面白くて冗談を言ってばかり。ここは明日から少し休みにるということで、3か月ぶりに自分の村(トゥルシャブル)に戻るとのこと!インターネットに繋がるのも3ヶ月ぶりだから、みんなからの連絡に対する返信で1日が終わるだろうと言っていた。
私の部屋はトイレの隣で、おまけに、ドアが隙間だらけなのでトイレの匂いがして気になってしまった。冷気が入り込んでスースーして寒く、寝袋だけでは寒いので借りた布団もぺらぺらだ。なんとか寝るしかない。
DAY9 ゴサインクンド(4380m)→ラウレビナパス(4610m)→ゴプテ(3530m)
息苦しさで何度か目が覚めた。標高約4400m。やはり3000m台の地との差を感じる。朝は寒く、部屋の中でも息が白かった。7時を回っていたけれど、まだ起きている人は少なく、ダイニングにいるのは私とフランス人のソロの男の人だけ。寒いので久しぶりにポリッジにした。食べ終わった頃、フランス人夫婦もダイニングにやってきた。彼らはほぼ空身で歩いているのでとても歩くのが早い。特に登りは追いつけない。どうせすぐに追いつかれるだろうと思い、「先に行っているね」と伝えて一足先に出発した。
快晴で気持ちいい。そして寒い!!少し下る形で3つ目の湖、Gosain Kundが登場。この村の名前になっている湖だ。ここはヒンドゥー教と仏教、両方の聖地で、ゴサインクンドまでに道のりには、ガネーシャ像や仏像が数体あった。毎年8月の満月の日に行われるジャナイプルニマというお祭りの時には多くの巡礼者で賑わうそう。ロッジからは見えなかったが、湖まで下るとタルチョや祭壇のようなものがあり、その祀られている姿を見てやはり聖地なんだというのがわかった。ネパール人にとってこのゴサインクンドは大切な地であるため、ネパリトレッカーも多く、湖畔で記念撮影大会をしていて楽しそうだった。
あっという間にソナン達に追いつかれ、写真を撮っている間に追い抜かされていった。ラウレビナヤクパスまで緩やかな登り。たった230mの登りなのに結構時間がかかる。4000mを超えているとやはり酸素が薄い。
水は光の加減で色が変わるのが面白い。
朝は真っ青。深いブルー。まっさらな青。たっぷりと水を湛えた湖は、空も山もここにあるもの全てを吸い込んでいるかのようだった。
一旦登ると、平坦な道に出て、右と左と1つずつ新たな湖が登場した。どちらも凍っている。しかし、完全には凍っておらず多分上を歩いたらズボッと沈んじゃうのではないかなと想像した。ラウレビナヤクパスの気配がなく、「一体どこがパスなんだろう」と思っていたら、アンナプルナのトロンパスのようにダラダラ登るタイプだった。
後ろを振り返るともうゴサインクンドは見えなくて、でも月みたいな荒涼とした風景でかっこいい。
しばらくして、やっと峠を発見、ソナンが待っていてくれた。この峠が最高地点の 4610m。上に登るとフランス人夫婦と青年もいた。
待っていてくれたんだ~。ありがとう!!!
「ca va?(元気?調子どう?)」と旦那さん。奥さんはちょっとした英語を話せるけど、旦那さんは全く話せず、それでも一生懸命話しかけてくれて、度々「ca va?」と聞いてくれる。
はー、やっと着いた~!思っていたより(というかこのPassの存在を認識していなかったな。。)きつかった。
雲海がすごい!ここは雲の上だ!!!
後は下るだけ!フランス人達は下りは遅いので、そのスピードに合わるのも良いかも、と私もゆっくり歩くことにした。もうこのトレッキングも終盤なので、残りのトレッキングを噛み締めながら。
ガスの中に突入。霧がすごい上に、寒くて、枝に霜がついている。アップダウンを繰り返しながら、いくつもの山をまたいで歩いている感じだ。視界がないのでどこがゴールなのかもわからないし、どのような山容になっているのかもわからない。確かにこんなところで襲われたりしたらどうしようもない。
峠から2時間歩いたところにようやく小屋がありランチ休憩。ここはPhediという場所で家族経営のロッジだ。意外にも部屋数は多かった。お客は我々だけ。お腹がぺこぺこなので迷わずダルバート。暖炉に火をつけてくれたので、暖炉の前に座って温まる。トイレの水は凍っていた。
フランス人夫婦はフライドポテトとスープを注文していた。彼らは私以上にスパイスな味付けが苦手で、チャパティとスープとか、フライドポテトとかそういうものばかり食べている。少しするとフランス人の青年もやってきた。彼がモモを頼んだら、10個分を1つにまとめた巨大なのが出てきた!!!これにはびっくり。
ランチを食べ終わると再び下る。相変わらず目的地がわからないままひたすら下り、そして登る。アップダウンが多くてなかなかハードだ。Phediから3時間もかかってようやくGopteに到着した。もう4時だった。はぁ、疲れた。
Gopteには宿が2軒あり、フランス人の奥さんが中を見に行くと最初のロッジはあまりきれいでなかったらしく、奥のロッジはとてもきれいで部屋代もfreeということでこちらに泊まることになった。お客は我々4人とヨーロピアンのおじさん1名。みんなで暖炉を囲んでくつろぐ。ここはお母さんと2人の娘達が切り盛りしていて、だからきれいなのかなと思った。特にお姉さんがちゃきちゃきしている。私は甘いものが食べたくなってココア味のビスケットを買ってお茶をしながら本を読んだ。
暗くなってからベルギー人の女の子とゴサインクンドで会ったネパリたちがやってきた!もう真っ暗だったのでびっくりした。ベルギー人の女の子はフランス語も英語も達者なので、全員と会話していた。よく喋るとても元気な子だ。そして、彼女はなんとグレートヒマラヤウォーク(GHT)というネパールを東西に横断する1700kmのトレイルを歩いているとのこと!!!
しかも一人で!!!テントも持っているらしい!!!
すすすすすごい!!!
「多分全部で4ヶ月かかると思う。今はちょうど半分」と言っていた。「町に下りることはあるの?」と聞いたらまさにランタンに来る前にカトマンズで一旦休憩していたとのこと。パーミットを取得したりもしないとだから、と。クライミングもするようで、山には慣れているようだった。4ヶ月も歩くなんてとても羨ましくなってしまった。彼女も仕事を辞めて、ひょんなことからGHTのことを知り、「これやりたい!」と思ってやることにしたらしい。パワフルだなぁ。
夕食はベジフライドポテトにした。おいしかったが、ここのダルバートが豪華ですごくおいしそうだったので、ダルバートにすればよかったと少しだけ後悔した。しかし、宿のお姉さんがダルバートの余ったおかずを他の人にもくれたので、味見ができて嬉しかった。サービス精神旺盛なお姉さん、ありがとう!!
DAY10-11に続く
山好きの人にも、ネパールが好きな人にも、ネパールでトレッキングをしたい人にも、美しい世界を感じたい人にも、何かに挑戦したい人にもオススメです。
”こんなにも美しい大自然の中で、目一杯体を使い、五感をフル稼働させて体感した先にあったのは、自分への信頼と美しい地球に生きていることへの喜びだった”
詳細はこちらから
↓