アンナプルナサーキットでの1番の山場は標高5416mのトロンパス越え。
前年のチョラパスやレンジョパスと同等の峠越えです。
前年はヒーローが現れザックを持ってくれたが、今年は1人で歩いていました。
トロンパス越えは10時を過ぎると強風が吹き付けるため、それまでにパスを超え、ある程度下山しているのが良いとされています。
私は前日トロンハイキャンプに泊まっていたのでそれほど急がなくても良かったのですが、何があるかわかりません。
ということで、4:45にロッジを出発。既にこの時間に出発する人たちもちらほらいました。
最初は満点の星空の下、ヘッドライトをつけながら歩きました。
次第に人が増えてきて、どんどん抜かされていく。
「はー、はー、はー」
荷物が重いのと息苦しいのとで、ノロノロと私の歩みは遅かった。
ただでさえ登りは早く歩けないが、標高が上がるとますます遅くなる。
途中で、何人もの人が大丈夫?と声をかけてくれました。
一人で歩いていると、皆心配してくれます。
厚手の手袋をしていたのに、それでも指先は冷たく、凍りそうでした。
鼻水は垂れるし、目はしばしばする。
出発して1時間くらいした頃だったでしょうか、ヤルティが後ろからやってきて声をかけてくれました。
少し経ってベンも。
2人の姿を追いながら、ゆっくりでも歩き続けるしかない。
トロンパスはどこが峠かわからないような道を進むのが、余計にきつかった。
だらだらと距離が長く、目的地はほぼ最後まで見えていません。
途中で太陽が昇ってきて、山肌を金色に照らす。
きれいだなぁ。
砂漠のような景色でした。木はなく、砂だけがある。
最後の方は私とポーター2名しかいなくなっていました。ポーター達も重い荷物がきつそうで、頻繁に休憩していました。
一緒に何度目かの休憩をした時にあと10分だよ、とポーターの一人が教えてくれたので嬉しくなりました。
ようやく!!!!
そうして前方にタルチョが見えた時、あぁやっと到着する、と嬉し涙が出ました。
更に嬉しかったことに、ベンが迎えにきてくれました。
もうとっくの昔に追い抜かされたので、まさか待っていてくれるとは思ってもみません。
ベンは几帳面で細かいところがあるけれど、長男なので、こういう優しさがありました。最後の5分を一緒に歩いてくれて、私は無事トロンパスに到着しました。
ベンとヤルティは30分も前に着いたそう。峠で一緒にお祝いできたら嬉しいけど、さすがにずっと待つのも大変だろうから、あまりにも遅いと先に行っちゃうだろうなと思っていたのですが、トロンパスでみんなと会えて嬉しい。
「待っていてくれてどうもありがとう!」
というと、
「当たり前だよ!」
と行ってくれて、ますます嬉しかった。
そして、ベンがポカラから持ってきたというとっておきの外国製のおいしいチョコレートを差し出してくれました。
こんなにチョコレートがおいしく感じたことはない。
最高だった。
やっぱりこういう場所は誰かと一緒だと嬉しさが何倍にも拡大する。
私が3時間15分かかったトロンバスまでの道、ヤルティは2時間で到着したらしい。ヤルティはベンよりも更に歩くのが早い。
なんだこの差は!!
あまりの差にがっくりきていると、足の長さが違うからね、と。確かにね。
最後の方は息ができなくなるかと思ったよ。酸素が全然足りないって感じではーはーしっぱなしでした。
きつかったなぁ。
そんなきつさも登ってしまえば忘れてしまう。
山好きの人にも、ネパールが好きな人にも、ネパールでトレッキングをしたい人にも、美しい世界を感じたい人にも、何かに挑戦したい人にもオススメです。
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