DAY4 ランタン(3500m)→キャンジンゴンパ(3800m)
DAY5 キャンジンゴンパ(3800m)→キャンジンリ(4770m)→キャンジンゴンパ(3800m)
DAY6 キャンジンゴンパ(3800m)→バンブー(1910m)
DAY4 ランタン(3500m)→キャンジンゴンパ(3800m)
今日は距離が短いこともあり、朝食は無しでお茶だけ飲んで出発することにした。Sisterがやっているから、とキャンジンゴンパの「Hotel Sherpa」という宿を紹介された。
ランタンを出てすぐにぐいっと丘を登るとマニウォールが続いていた。かなり長いマニウォールだ。次のMunduという村からはランタン村が見渡せた。またまた日本人3人組に遭遇。これだけトレッカーが少ない中、昨日に続きまた日本人に遭遇するとはなかなか珍しい。ランタンコーラをオススメしてくれた。早くてキャンジンゴンパから往復4時間とのこと。うーん、行く時間があるといいな。
ランタンエリアはエベレストやアンナプルナに比べて気温が高めで、この標高でも暑くなりメリノウールの長袖シャツ一枚になった。
しばらくすると、突然景色が雄大になりに、カメラを構える手が止まらなくなってしまった。なんてきれいなんだろう。奥までやって来た感じがする。左手にはランタンリルン、右手には名前はわからないけどギザギザした山々。そしてその奥にGanchunpoという雪山が見える。興奮!!チョルテンが現れたが、キャンジンゴンパ村がなかなか見えず、うーむ、村はどこだろう?と思っていたら、丘へ登るといきなり村が現れた。
そして、この丘のあたりにロッジのおばちゃん達が待ち伏せしていて勧誘してくる。これまで歩いてきてランタンエリアのロッジの人々は皆勧誘がすごかったという印象があるが、キャンジンゴンパの勧誘はその中でも特に強引だった。
「もー、みんな私のホテルに泊まってと言うから困るよ〜。Help me!!」
と叫ぶと周りの人が笑っていた。
無理やり腕を組まれ連れていかれたロッジを見てみると、部屋にあまり陽が入ってなくて景色も良くなかったのでやめた。そして、その隣のロッジのおばちゃんに連れられ部屋を見てみると角部屋で山も見えるし陽もたくさん入っていたのでここに決めた。ここもRoom free、Charge free、Hot Shower freeだった。「Room freeは特別よ!他のお客さんはfreeじゃないからね!」と言っていたが果たして本当かわからない。これだけロッジがたくさんあると、ロッジの方が圧倒的に供給過剰なのでどのロッジも客の確保に必死になっている。
まだお昼まで時間があったので、ぶらぶら散歩に出かけると景色の良いところに出た。山と川が見えた。この川がランタンコーラ。この先に道が続いている。再びロッジ街に戻り、たまたま外にいたロッジのおじさんと話した。1999年にチベット(ラサ)から山を越えてここへ来たとのこと。おじさんは「ラサに中国人が増えたので、中国人が嫌いだからここへ来たんだ」と言っていて何だか切なかった。ここの村にいる人はみなチベットから来たとのこと。まだランタンエリアには中国人トレッカーはほとんどいない(会っていない)けど、中国人がたくさん来るようになったらどう思うのだろう。
午後出かけるのにどこがオススメか聞くと、この人もランタンコーラを勧めてくれた。1時間でも2時間でも5時間でも好きなだけ歩いたらいいよ、と。
宿への帰りがけにベーカリーを見つけたので、中に入ってみるとおいしそうなケーキがショーケースに並んでいる。そして驚いたことに日本人の女の子がいた。ネパール人かと思ったよ。彼女は大学院生で地震の後の人々の暮らしの変化を調査しに来たそう。しかし、みんな地震のことは思い出すと辛いから話したがらないそう。地震から3年経って、生活は再建しているように見えるが、家族や親戚、友人を亡くした人は多く、みな心の奥に悲しみを閉じ込めているのだろう。
お勧めされたアップルケーキをテイクアウトしてランタンコーラへ行くことにした。おやつに食べよう。
ランタンコーラは先ほど出かけた景色の良い所の先だった。向こうから来たおじさんに「どこ行くの?」と聞かれて、「川の方へ行くよ」と言うと、「ヤクもいっぱいいるし、動物もたくさんいるし景色もきれいだから楽しんで」と言われた。そんな風に言われたらますます楽しみになってきた!
緩やかに下るとヤクの放牧場に出て、その先のチョルテンまで行った。ランタンにいるヤクはエベレストで見たヤクより小さい。そして、写真を撮りたくて近づくと、まだかなり距離はあるのにものすごい勢いで逃げていく。「そんなに驚かなくて大丈夫だよ」と話しかけてみてもやっぱり逃げちゃう。かわいいなぁ。ヤクはこう見えてとても臆病な動物なのだ。この辺りは頭がすこーん、と突き抜けるような景色だった。宇宙に繋がっている感じがとてもした。都会の中にいると空の上が宇宙と繋がっていることが想像できないけれど、こういう所に来ると、容易に想像できてしまう。ここまで来てみて良かった。
宿へ戻って夕食を注文すると、「キッチンで作るのを見ててもいいよ」と言ってくれたのでキッチンにいることにした。若い女の子が昼間からずっとご飯を作っている。この時はタルカリを作ったり、ジャガイモを茹でていて、その後はご飯を炊くそう。竃はいいなぁ。頻繁に薪を入れないといけないけれど、火を見ているのは飽きない。誰かが料理をしているのを見るのもとっても好き。
今更だが、すごいことに気がついた。キャンジンゴンパに来る前、ランタンでキャンジンゴンパのロッジ「Sherpa Lodge」を勧められていたが、あまりにも客引きが強引なので、すっかりSherpa Lodgeの存在を忘れていたが、泊まっていたロッジがSherpa Lodgeだった!!なんて上手くできているのだろうか!ロッジの看板が見えなかったので名前がわからなかったのだが、ここがSherpa Lodgeであることを知りとても嬉しかった。
奥さんに「ランタンでお姉さんのロッジに泊まっていたんだよ、Sherpa Lodgeを紹介されたんだよ」と伝えるととても喜んでくれた。
DAY5 キャンジンゴンパ(3800m)→キャンジンリ(4770m)→キャンジンゴンパ(3800m)
朝起きてカーテンを開けると、結構雲が出ていてがーんとショックを受ける。今日はキャンジンリという標高4770mの丘へ登って上からの景色を楽しむつもりでいたのだ。せっかく登っても曇っていたら残念だしな、どうしようか思いつつもまずはお茶を。すると、お茶を飲んでいるうちに雲が晴れて青空が出て来たのでキャンジンリーへ出発することにした。
あっという間に村が小さくなった。結構急な道があって足にくる。まずはLow Kyanjin Riに到着。ここでも十分絶景だ。ここから本当の頂上はまだ見えない。急な上り坂でふくらはぎの筋肉を使っている感じがする。頂上手前でようやく傾斜がやや緩やかになったけど、なかなか登りごたえがあり、到着した時は「はぁ、やっと着いた!!」と思うほどクタクタだった。
もうすごい景色!!大きな氷河も大迫力。360度全て見渡せ、どの方向もカッコいい。こじんまりとしているけど、それでもすばらしい眺望だ。頂上にいるのはもう1グループだけだったので静かで眺めがよく、さらに居心地もよくて離れたくなかった。こうして、トレッキングを開始して5日目怪我もなく困ったこともなく無事にここまでこれたことをしみじみを感じていると、「自然に守られている」ことがよくわかる。この絶景を見ながらそんなことを改めて感じていた。
下りはあっという間。下りてしまうとなんだか寂しく、また登りたくなる。やっぱり山の上にしかない世界があるのだ。
ロッジに着いて、シャワーを浴びようとしたら今朝は冷えたようで菅が凍っていてまだお湯が出ないとのこと。それでも、ありがたいことにバケツにお湯を溜めてくれた。しかも「ここで浴びて」と案内してくれたのはトイレ付きの空き部屋。「お湯の熱さは十分か」というのも聞いてくれ、そんな奥さんの優しさが身に沁みる。バケツに半分入れてくれた熱湯を水でうめて使う。シャンプーまでしてお湯が足りるかドキドキだったけれど、なんとか髪も体も洗えたのですっきり。
そして洗濯も。これだけ日差しが強いとよく乾きそう。ロッジの娘さんたちも洗濯をしていて、なんと絞らずに水が滴るまま干していた。それでも乾くからいいのだろう。ネパールでは、そもそもできるだけ早く乾かそうという概念はなさそうに見える。
同じロッジに、日本語を話すNimaさんというガイドさんがたまたま泊まっており、よく話しかけてくれる。「ポテトはこの土地で作ったやつだからオススメ」というので久しぶりにFried Potato with Veg.にした。髪を乾かしながら外のテーブルで食べた。昼間はポカポカでとっても暖かい。ここのポテトは水っぽいポテトで新鮮だった。
そして、日向ぼっこをしながらNimaさんとおしゃべり。Nimaさんのお客さんは別のガイドさんとヤラピークにクライミングに行っており、Nimaさんはお留守番しているのだそう。Nimaさんには山の話やネパール事情を聞いた。今はコダリの国境(私が昔チベットのラサからカトマンズまでジープで来た時の国境)は地震でなくなり、シャブルベシの北の国境が開いている。外国人もそこから中国へ行ける。中国とネパールで輸出入が頻繁に行われている。例えば服はかなり中国から入ってくる。あときれいな大きいりんご(農薬使っている)も中国から。田舎では農作物を作っているけれど、カトマンズは作っている所が少ないのでインドや中国から輸入したものも売っているそう。
それから、驚いたのは夏でもナムチェより上は晴れているとのこと。ただし飛行機はほとんど飛ばないからファプルやサレリから歩く必要がある。ムスタンも雨が降らないので夏でもトレッキングできるとのこと。ムスタンはお寺が沢山あって、ムスタントレックはお寺などを巡るらしい。青々と農作物の茂った夏のネパールも見てみたいなぁ。
夕方また昨日のベーカリーへ行きアップルパイを食べた。スパイスが効いていて大変おいしかった。全体的にこのベーカリーはおいしい。このりんごは少し下にある自分のりんご畑で育てたものだそう。りんごから手作りとは、嬉しいな。昨日会った日本人の女子にも会えるかなと期待していたけれど、今日はまだ来ていないとのことで会えなかった。Super Viewというロッジに泊まっているから行ってみたら?と教えてくれた。
ランタンコーラ方面のView Pointで夕方の空を眺めた帰りにSuper Viewへ寄り道。ロッジのお母さんに「日本人の女の子いる?」と聞くと、「キッチンにいるよ」と教えてくれた。キッチンを除くといたいた!そして、お茶を入れてくれて飲みながらおしゃべり。今日は薪集めに行って帰って来たばかりとのこと。すごい経験をしているなぁ。お互いにマッサージするのが好きという話で盛り上がった。若いのにしっかりしていて良い子だ。そろそろ日本語も恋しくなっていたし、ステキな日本人に会えたらいいなと数日前に思っていたのを思い出した。会えて良かった。
気がつくとあたりが真っ暗になっていた。自分のロッジに戻ると停電していたので、みんなで暖炉を囲みながらおしゃべりしていた。夕食後、ヤラピークから帰って来たドイツ人夫婦がやって来て、みんなでお祝いのビールで乾杯。ドイツ人夫婦は疲れと興奮と歓喜と達成感と安心とが色々と入り混じっているように見えた。ドイツ人夫婦のガイド、ポーター、他のロッジから遊びに来ていたポーターなど10人くらい。なんとなくみんなで話す感じがとても居心地の良い夜だった。
DAY6 キャンジンゴンパ(3800m)→バンブー(1910m)
焼きたてのおいしいチベタンブレッドとマサラティーの朝食。 お世話人になったNimaさんとお母さんと写真を撮ってお別れして出発しようとしたら、お母さんが「お茶をご馳走するわ」と言い出しまたマサラティーを作ってくれた。一緒に写真を撮ったのが嬉しかったみたい!かわいいお母さん。本当にこの宿でよかったな。お母さんの人柄がとても温かくて居心地が良かった。
キャンジンゴンパを出発して歩き始めたものの、キャンジンゴンパから離れるのが名残惜しい。頻繁に立ち止まって何度も振り返っては目に焼き付けてまた歩き出す。今日は下りなので気持ちが楽だ。あっという間にランタンに到着し、マリーゴールドホテルでおばちゃんにキャンジンゴンパで撮った妹さんの写真を見せて、ちょっと休憩。次の村タンシャップではランチをしている人も大勢いたけれど私は更に下る。ここは猿が沢山いる。木に登って赤い木の実を食べていたが、私が近づくと急いで逃げて行った。これだけ人間が日頃から近くにいるが、意外にも怖いんだな。木から落ちそうになっている猿がいて、まさに「猿も木から落ちる」だとちょっとおかしかった。
今日のランチはゴータタベラで食べると決めていた。チェックポイントがあった場所だ。目指していたのはNimaさんオススメのTibet Hotel。ダルバートが650rpもしたので怯んだが、おいしいと言ったいたしここで食べることにした。太陽が気持ちいい。オススメされただけあってここのダルバートはとてもおいしかった。最初に運ばれて来た以上の量をお代わりした気がする。さすがにお腹いっぱいで苦しかった。ダルバートを食べるときは、ついお腹いっぱいまで食べてしまう。たくさんよそってくれるので、自分がどれくらいの量を食べられるものなのかあまりわからずに見積もりを間違えてしまう。650rp渡したら50rp負けてくれた。なんでかよくわからないけど、少しお金が帰ってきたのが嬉しく感じた。
しばらく歩き進めるともう森の中で景色の変化にしみじみ。午後の光が当たって森の中が賑やかだ。何度も立ち止まり満足するまでその光景を見つめた。下りなので気持ちも体力も余裕があるし、気持ちよいので嬉しくて幸せな気分でだった。
ラマホテルに到着したのは15時。キャンジンゴンパから下りてきた人はラマホテルに泊まる人が多いが、私はこれからゴサインクンドの方へ行くので、もう少し進めておきたかった。バンブーまでは1時間半ということなので、16時半に到着すればまだ日没前で大丈夫だろう、ということでバンブーまで行くことにした。
ラマホテルからバンブーまでは森の中なので、植物達の美術館を楽しみながら歩いた。今日は22kmも歩いたので、さすがに足が疲れて、途中でぐらついたり滑ったりしてひやっとした時があったので怪我せずに無事に到着してほっとした。
ダイニングには暖炉が付いていてサウナのように暖かかった。
ガイドさんで少し日本語を話す人がいて(またしても!)、この人もすごい人だった。7回もエベレストに登っていたし、名だたるネパールの山々を登っているガイドさんだった。こういう人が普通にそこにいるから驚く。日本人を見かけるとみんな話しかけたくなるようで嬉しい。
エベレスト街道のトレッキング体験記が本になりました!
山好きの人にも、ネパールが好きな人にも、ネパールでトレッキングをしたい人にも、美しい世界を感じたい人にも、何かに挑戦したい人にもオススメです。
”こんなにも美しい大自然の中で、目一杯体を使い、五感をフル稼働させて体感した先にあったのは、自分への信頼と美しい地球に生きていることへの喜びだった”
詳細はこちらから
↓