DAY1 ポカラ⇨カンデ→オーストラリアンキャンプ(2060m)→ポタナ(1890m)→ピタンデウラリ(2142m)→フォレストキャンプ(2550m)
マルディヒマールのスタートポイントはフェディ(Phedi)やカンデ(Kande)、ガンドルック(Ghandruk)がメジャーで、それぞれ所要日数が異なるので、期間や好みに合わせて選べる。私はポカラからタクシーで1.5時間の所にあるカンデからスタートすることにした。ポカラからカンデへ行くにはバスでも行けるが、バスターミナルでの乗り換えが必要。バスを乗り継ぐのは面倒な気がして、ホテルからカンデまでタクシーで向かうことにした。タクシーは2000rp(2000円)。
昨日、一昨日とポカラの天気はイマイチだったが、今日は朝からよく晴れている。ホテルのスタッフもみんな今日はいい天気だねと嬉しそう。絶好のトレッキング日和で私も嬉しい。
7:10にホテルを出発。レイクサイドの方を通ってサランコット経由でカンデで向かった。今日はアンナプルナの山々もバッリチ見えておりとても美しくてテンションがあがる!!
この時間は日の出を見てサランコットから降りてくる人が沢山いるので、車がひっきりなしに通る。際どいすれ違いを繰り返す。
途中で、ポカラの町が見渡せるところで写真休憩をした。朝日が広がり柔らかな光が町を包んでいる。
更に車を走らせてカンデへ向かう。山道で酔いそうだと思っていた頃到着した。
スタート地点にはレストランがあって、早速「ガイドは要らないか?」と声がかかる。「ガイドはいらないよ」というと今度は「ちょっと見ていって」とチベタンアクセサリーの露店を案内される。たくましい・・・。
オーストラリアンキャンプまではずっと登りだ。石段が敷かれており歩きやすい。この辺りは人が住んでいて所々に家が建っている。何人か上から下りてくるトレッカーとすれ違ったが、それでもだいぶ少ない。ちょうど学校へ行く子供達とたくさんすれ違った。下の方に学校があるようだ。毎日この山道を往復しているんだもんな。すごいな。
オーストラリアンキャンプまでの道は鳥たちの美しい声にしばしば立ち止まることとなった。美しい鳥の声が聞こえるとここは楽園だなと思う。
山の上にテントが見えてきて、あそこがオースリラリアンキャンプかなと思った所がやっぱりそうだった。カンデから1時間ほどで到着した。まだこの辺りに何もなかった頃、オーストラリア隊がこの地にテントを張ったので、オーストラリアキャンプという名前がついたそうだ。なんとういう由来。そのせいか、マルディヒマールのルート上にあるロッジ村は「フォレストキャンプ」「ローキャンプ」「ハイキャンプ」と「キャンプ」という名前で揃えている。オーストラリアンキャンプにあるロッジはキャンプができるようにか、庭が広いロッジが多く、テントも多数見られた。
早くもマチャプチャレとヒウンチュリ、アンナプルナサウスが見える。わーお!こりゃあいい。
ACA(Annapurna Consevation Area)チェックポイントがあったので寄ったが人がいない。なぜかゲストハウスも併設されており、そのおばちゃんが係りの人を呼んでくれた。チケットなしでトレッキングしているのが見つかるとペナルティーとして倍額徴収されるというのに、緩いものだ。国立公園入場料のチケットを回収され、あっという間に終了。
オーストラリアンキャンプからは少し下って森の中に突入した。森も広々していて明るくて気持ちが良い。大抵森の中に入ると嬉しくなる私は「あぁ、そうそう、これこれ!」と1人で歩く楽しさを噛みしめた。自分のペースで歩きながら、自然の美しさを心ゆくまで堪能できるのが1人で歩く良さだ。
30分程度で次の村、ポタナ(Pothana)に到着。今日は早々にお腹が空いたのでここで早めのランチにすることにした。日がサンサンと降り注ぎ、マチャプチャレが見えて絶景だ。Ncellのsimを入れていた私の携帯はたまに電波が入り、メールを受信した。
しばらく待って、お上品なダルバートが出てきた。全て小盛りだ。マナスルトレッキングの後で胃が拡大している私にはとても足りず、あっという間に平らげてお代わりした。お代わりも他のところみたいにバーン、とはよそってくれず、あー食べた食べた、というほどにはならなかった。それって珍しい、というか初めてのことだ。「もっとちょうだい」と言えばいいんだけど、それは恥ずかしくて言えなかった。
今日はデウラリ(Deural)までの予定だったが、ポタナから45分で着いてしまい、まだ時刻は12時過ぎ。それなら、次の村のフォレストキャンプまで行ってしまおうかと思い、近くにいたロッジのお姉さんにどのくらいかかるか聞くと4時間とのこと!4時過ぎには着けるんだったら、日が暮れることもない。フォレストキャンプまで行こう!と進むことにした。ちなみにデウラリも絶景で泊まるのに良さそうだった。標高は2000mを超えているが、この辺りでもバレラやツリートマトが実を付けていて豊かな土地だ。
ここからはずっと森の中。まるで日本の山道みたいだ。途中でショートカット(50分短いと書いてある)の道があったので、そちらを進むことにした。鬱蒼としているが、緑がとてもきれいで苔もたくさんある。
そして建設中のロッジもたくさんあり、トンカチする賑やかな音が森に響いていた。
森の中に入ったら、木々や草花に「みんな、久しぶり!元気だった?」と話しかけてしまう。ネパールの森に限らずだが、森という場所は私のホームな感じがしていて、彼らとの再会に嬉しくなるのだ。
今日はなんだかよくお腹が空く日で、ポカラで買ったひよこ豆とトレイルミックスを口に入れた。このひよこ豆は炒ったもので、ポカラのスーパーで購入できるが、先日のマナスルトレッキングの時にガイドさんがくれて存在を知ったもの。素朴でとっても気に入った。トレイルミックスはレーズン2種、デーツ、ココナッツ、カシューナッツ、アーモンドが入ったもので、特にレーズンとココナッツがお気に入り。
ネパール人の大学生を抜かしたり抜かされたり。デウラリからフォレキャンプの間は2軒ほどお茶屋が出来ていたが、それくらいで他にロッジはない。ただし、現在建設中のロッジが何軒かあったので、来年にはもう出来ているかもしれない。
美しい鳥の声や、湿度を帯びた空気や目には見えないような沢山の命が生きている森に癒される道だった。
次第に陽が傾いてきて西陽が森に当たるようになると、黄金色の光がキラキラと木々を照らした。
15:45フォレストキャンプに到着。デウラリから3時間半と思ったよりも早く着けてよかった。建設中も含め、ロッジがたくさんありどこに泊まろうか迷うほどだ。まだ新しいきれいなロッジもある。
1番上にあるロッジからアンナプルナサウスが見えそうだったのでそこまで登ってみた。ロッジの名前はSunrise Lodge。
「泊まれる?」
「Yes」
「誰かの紹介?」
「ううん。下から見たらこのロッジの後ろにアンナプルナサウスが見えたから、ロッジから見えるんじゃないかと期待して来てみたの」
「へ~」
「もしかしてSunrise見えるの?」
「見えるよ!明日の朝お楽しみに!」
そして、「こっちから山見えるよ!」と見える場所を教えてくれた。少しだけ見えた。
部屋はまあまあきれいだ。ベッドが3台もあったのでブランケットが使い放題。まあ実際にはまだそれほど寒くないので1枚で足りたのだけれど。
太陽は見えなかったけれど夕焼けがきれいだった。久しぶりに山で見た夕焼け。美しかった。
ダイニングへ行くと暖炉がついており暖かくて嬉しい。夕食ができるまでネパール語の勉強をしながら待っていた。ロッジの人やガイドさんは英語を話すが、ネパール人同士だとネパール語を話していて「何を話しているのかな、ネパール語が理解できたならな」と思うことが度々ある。
ネパール人を真似て「ディディ(お姉さん)!」と話しかけるとびっくりされた後、笑われてしまった。それでも、外国人が少しでもネパール語を話すと彼らはとても喜んでくれる。
ここのダルバートはタルカリが少し辛かった。アンナプルナベースキャンプも辛かったので、やはりこの辺りは少し辛めが好みなのかもしれない。
今日のお客は私以外はあと1組だけで、タイ人の旅行会社オーナーのマダム(カトマンズ在住)とタイ人の夫婦とそのガイド&ポーターであった。タイ人夫婦は色々な食料を持ってきていて、おつまみを私にもくれた。久しくタイへは行っていなかったが「そうだそうだ、タイ人ってこういうところがあるよね」とその親切心が懐かしくなった。
彼らはハイキャンプから下りてきたが、2日間とも天気が良くなかったそうだ。確かに2日間はポカラの天気も良くなかったから、山の中も同じだったのだなぁ。
夕食後はタイ人旅行会社オーナーとガイド達とロッジの夫婦とおしゃべりを楽しんだ。ロッジの夫婦はランドルック(近くの村)の人達で、ランドルックでは両親がロッジをやっており、子供たちはポカラの親戚の家に預けているそう。子供達と暮らせないのはもちろん寂しいけれど、ビジネスがあるからしょうがないと。
ネパール人は男性同士手を繋ぐという話から、タイのニューハーフの話になり、更には日本だとどうなの?と聞かれたり。それから、今のネパールの首相は中国寄りだから、中国人や中国資本がどんどん増えているそう。今年になってますます中国の勢いが増しているように見えていたので、このことを聞いて納得した。しかし、いつかネパールが中国化されてしまうのではないかという心配も覚えるほど、その勢いはすごい。橋やトンネルを作るのはほとんと中国資本の会社。タメルには中国語の看板が連なる通りもある。チベットのようにならないことを祈るばかりだ。
そして来年はVisit Nepal2020なのでビザが無料という話などを聞いた。本当に?そんな話初めて聞いたよ。後から、ポカラやマトマンズで色々なネパール人に聞いたところ、ビザが無料という話は聞いていないという。噂でしかないのかもしれない。
「クライミングもするの?」
ガイドさんに聞いてみた。
「ガイドとしてはしないけど、一度アイランドピークに登ったことがある」
「トレッキングとクライミングだと見える世界は全然違うの?」
「全然違う!トレッキングだと高い山を見上げるけど、クライミングだと全部が下に見えるからね!登っている途中はなんでこんなことし始めちゃったんだろうと思うくらい大変だったけど、頂上に着いたらそんな想いはいっぺんに吹き飛んだよ」
そうかぁ。やはり全然違うんだな。私はまだネパールでクライミングというものをしたことがないけれど、ガイドさんと話していると、次はクライミングだね!なんて言われることが何度かあった。今の所、クライミングしてみたいとはまだ思っていないけれど、いつか登りたくなる時が来るのだろうか。
それから、やはりしっくりこない「ガイド必須エリア」のことも聞いた。
「なんでマナスルはガイドが必要なの?」
「Restrictエリアだから。決まりだから。」
うーむ、イマイチな答えだ。みんなそれぞれ違うことを言う。
文化の違いを楽しんだ夜だった。
DAY2へ続く
山好きの人にも、ネパールが好きな人にも、ネパールでトレッキングをしたい人にも、美しい世界を感じたい人にも、何かに挑戦したい人にもオススメです。
”こんなにも美しい大自然の中で、目一杯体を使い、五感をフル稼働させて体感した先にあったのは、自分への信頼と美しい地球に生きていることへの喜びだった”
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