山の中の大都会ナムチェへ
6日間かけてカトマンズからジープ+トレッキングで移動しました。
DAY1 カトマンズ⇨ファプル(2413m) by ジープ
2017年以来、五年ぶりのエベレスト街道。
前回は飛行機が飛ばなくて、急遽シバラヤという村から歩いたのでした。
まだルクラへ飛行機が飛んでいなかった時代の登山ルートの出発地がジリという村で、
シバラヤはその隣の村です。
その時に、カトマンズからファプルという村までジープで行き、歩き始めるとジリやシバラヤから歩くよりは短期間でルクラへ到着するという方法があると知りました。
今回はそのルートで歩いてみることにしました。
何気にカトマンズからファプルへのジープがなかなかハードで、くねくね山道を行くのでトレッキングするより疲れるくらい疲弊します。
今回は運良く、客が4名でゆったり座れたのと、ドライバーが安全運転をしてくれたのでマシでした。
DAY2 ファプル(2413m)→ タクシンドゥーラ(3070m)→ タクシンドゥ(2925m)→ ヌンラタ(2220m)
朝から事件が!
起きて部屋の扉を開けようとしたら開かない!!
昨夜外から鍵をかけられた気がしたがやはりそのようだった!
ガーン。トイレに行きたいのに。。。
幸いなことに私の部屋は道に面している側の2階だったので、通行人を見つけたら叫んで開けてもらおう。
2時間くらいしてようやくロッジの主人らしき人が見えたので、呼びかけると奥さんが上がってきて開けてくれた。
流石にちょっと気まずそうな顔。
ちょっと怖くなり、朝食は食べずに早めに退散。お湯を保温ボトルに入れてもらい出発しました。
歩き出すと気持ちよくて、嬉しい。
3年ぶりでどう感じるかと考えていたが、この感覚は変わらなかった。
道が川になって困っていたら、タイミングよく現れた地元のお姉さんがショートカットの別の道を教えてくれたり、
エベレストベースキャンプへ行くポーターと少しの間話しながら歩いたり。
タイミングよく現れるサポーター達よ、ありがとう!
重い荷物が堪えるな、なかなか上がらないペースに先が思いやられるな、と思っていたら3000m近い標高まで来ていた。
どおりで。
屋久島みたいな照葉樹林の中を通ってどんどん下り、ヌンタラに到着。
すてきな宿があるなと思ったら前回のシャングリラロッジだったのでやはり今回もここに泊まることにした。
お客は私が一番乗りだったようで角部屋ゲット。
ゆったりと広く、中にトイレまであった。
出窓にも物が置けるし、デスクもあるしで物を広げたい私にはとてもよい。
更に窓の外には桜が見えた。
とっても良いお部屋。ここで1日のんびりするのも良いななんて思ってしまう。
値段はここも500rp。ソルクンブは500rpで統一されたのかもしれない。
到着したのはまだ15:20くらいだったので、顔を洗ったり、足も洗った。
部屋の外にはテーブル&椅子もあって、そこで本を読みながら、汗で濡れた服を乾かした。
乾いたかなーという頃、外も寒くなってきたので中に入って着替え&ストレッチ。
ヒマヤラを歩いている時、
宿について窓の外の景色を見ている時、
じわじわお腹の底で感じる静かな喜びは、
何かあったから嬉しいというのではなく、静かに静かに心が満たされるような穏やかなものだ。
DAY3 ヌンラタ(2220m)→ ジュビン(1680m)→ カリコーラ(2035m)→ ブプサ(2350m)
たっぶりと10時間寝てしまった。
トレッキング中は何時間でも眠れる。
起きて窓から外を眺めるのが嬉しすぎて何度も何度も眺めてしまう。
美しい段々畑と桜の木。
村の中を通って、あっという間に通り過ぎて、どんどん下る。谷の向こうの山や段々畑を見ながらすいすい歩く。奥にはまた別のヒマラヤが見えていて、本当に気持ち良い道。
ナマステって言いながら笑顔で交わすこの、ちょっとした挨拶が嬉しい。
ふと、ネパールの人達がここでこうやってシンプルで、地に足のついた暮らしをしていることが
地球を救っている。
地球をグラウンディングしている。
そして、ここを訪れる外国人を癒している。
そんな気がした。
道路もなく、お金もなく、食べるために食べ物を育てざるを得ない暮らし。
暖を取るために脇割りをし、畑を耕し、種を蒔き、冬に備えて野菜を乾燥させ、日本人のようにあえて丁寧に暮らす、ということをやっているのではなく、こうしないと生きていけないからやってるだけなんどけど、なんというかすごい力を感じる。
彼らがここに生きていてくれてありがとうという気持ちになる。
村の子供達が
「チョコレート(甘いもの)ちょうだい!」
って走ってきたり、
桜を見ていたら、おばちゃんが何か話しかけてきた。
言葉がわからないけど何か一生懸命に話してくる。
あぁ、ネパール語が話せたらな。
ジュビンは標高が1680mと低いので、お花がたくさん咲いていたり、バナナの木があったりして南国感がある。
永遠に続くかのような階段をなんども途中休憩しながら進み、やっとやっとカリコーラに到着。
こちらでダルバートを注文して昼食。
何度か一緒になるUKカップルやUKのおじさんとも合流。
みな私のザックが大きくて笑っている。
今回70Lパンパンだからな。トイレットペーパーや行動食が減る予定なんだけどね。
アジア系のカップルが手を繋ぎながら歩いていてどこの国の人かなと思っていたら、ネパリだった。
ブプサでロッジをやっていてカリコーラに買い物に行ってきたとのこと。
わー、何と大変!
「何買ったの?」と聞くとスープとかと言っていた。
欲しいものがあるときはカリコーラに買いに行くらしい。
「買ったものはバイクで運んで私たちは歩いているの」
とのことだった。
カリコーラから1.5時間でブプサに到着。
今日はここに泊まる。
ブプサはとても小さな村で500m程の道沿いに5軒ほどロッジがある。
一通り見て、景色が一番良さげな一番最初のロッジにした。
まだ他のトレッカーはおらず、角部屋をあてがってくれた。
窓が二面あり景色は最高だった。
夕方、キッチンのかまどで暖まらせてもらった。
夕食にダルバートをオーダーすると、最初から作る感じで結構時間がかかったけれど、炊き立てのご飯と作りたてのタルカリやダルが運ばれてきた。青菜がなかったみたいでサラダ菜が生のまま載っていた。これ新しい!
ダルがドロっとしたタイプでとってもおいしかった。炊き立てのお米も最高!タルカリもおいしくて、すごくお腹いっぱい。
元々のお米の量が多かったのでダルだけお代わり。あぉ〜幸せ。
ご飯を食べているとお坊さん3名が入ってきた。カリコーラのお坊さんたちかな?
暗くなっちゃったからここで泊まることにしたのかな?
「タシデレ」「トゥジェチェ」と言っていた。
そしてご飯は食べずにバター茶をもらっていた。
で、今私の隣の部屋にいる。こういうこともあるんだな。
よくは聞き取れないが、低い声でお経を唱えている気がする。
DAY4 ブプサ(2350m)→ カリーラパス(2870mくらい)→ プイヤ(2770m)→ スルケ(2300m)
暑くて起きた。
今回、ロブチェピークに行くので、今までより暖かい寝袋を持ってきた。
今まではモンベルのダウンシュラフ#3だったけど、今回はシームレス ダウンハガー800 Women’s #0。
快適温度 -6℃、使用可能温度 -13℃
そのため、まだ3000m以下のこの辺りではオーバースペックで暑いのだ。
寝袋に入った時は暑さを感じないけれど、1-2時間すると温まってきて挙句の果て暑くて起きる、という事態が発生。
そりゃそうだ。
暫くして隣からまた読経の低い音が微かに聞こえてきた。
すごいな、朝も晩もお経を唱えるんだね。
6時過ぎには法螺貝の音が谷に鳴り響いた。
プォーーーーーン。
カリコーラのゴンパから聞こえているのかな。
ブプサにもゴンパがあるけど前は誰もいなかったもんな。
すごいものを聞いたな。
気持ちの良い音。
山にとても合う。
屋久島も南部は朝の6時にエーデルワイスが流れるのだが、法螺貝の音が流れるのを聴いてみたくなった。
カリラパスまで、また車道と石段のトレイルが交互に出てくる。
すごい大きなウォータータンクを運んでいるおじさんがいて、聞くとカリラパスまで行くという。
息子っぽい若者はドラム缶を担ぎ、2人で交互に交代しながら運んでいた。
ウォータータンクは40-50kgもあるそうだ!すごい!!
ジープや食べ物やラバ達が沢山いるところがあって、ここまで車で来れるんだな、とわかった。
ここがTham Dada。随分奥まで道が通ったな。
Tham Dadaまで車で来るには、ファプルでジープを乗り換えるそうだ。
カリラパスの先の道は、崖崩れの場所が3箇所くらいあってなかなかヒヤヒヤした道だった。
最後の道はかなり危なくてカリラパスで会ったキリッとした顔のガイド(ラクパ)が先に行って自分の荷物を置いた後、私のこともサポートしてくれた。
ネパール人てみんなこういうことを自然にやってくれて優しい。
しっかし、危ない道だったな。
なんと上に道路を作っていくからそれでも崖崩れが起こったそう。
この先は概ね下りで、川を越えてスルケに到着。
どのロッジにしようかウロウロしていたら話しかけられたお母さんのロッジに決定。
午後の道は段差が大きな石段が多くてなかなか疲れた。
結構背中が疲れていて、筋肉痛な感じ。腰も痛くなっている。ストレッチとマッサージしたけど、完全には取りきれない。まだ歩き始めて3日目だから体が慣れないかな。
夕食を食べてくつろいでいると19時前に何人かロッジに到着!
対岸にライトが見えたけど、まさかこの時間に到着するとは驚き。
モンゴル人の若いチームだった。今日はどこから来たのだろうか。
みんなおっきくて軍隊みたいだった。
DAY5 スルケ(2300m)→ チャプルン(2660m)→ パクディン(2610m)→ モンジョ(2835m)→ ジョルサレ(2800mくらい)
昨日の土砂崩れのところが結構怖かったみたいで夢に出てきた。
帰りにまた通ると思うとハラハラするなぁ。
荷物減りますように。
何度も目が覚めてなかなか熟睡できなかった。
とは言えトータルでは9時間くらい寝ていることになるから寝過ぎと言えば寝過ぎだ。
2時間ほどでチャプルンに到着。
もうルクラの近くだ。
マニ車も登場。
感謝を伝え、旅の安全をお願いする。
マニウォールやマニ石も出てきて雰囲気が変わった。
段々体が慣れてきたのか、今日は鼻呼吸が上手くいって、そうすると立ち止まるのも少なくて済むので、調子が良かった。
道も段々歩きやすくなった(段差がちょうど良い)というのもあるかも知れない。
今日は感謝しかない。
ネパリが自分のままでそこにいて、暖かく迎えてくれること。
両親が丈夫な体で命を与えてくれたこと。
こうして長期間歩ける自由さ。
お客さんになってくれた人のおかげでできた旅費。
このランチの2人、通った時にニコニコ挨拶してくれて、そのまま3mくらい進んだけど、やっぱりあの、2人のところで食べようと思って戻って来たんだよね。
そのくらい2人の笑顔と雰囲気が印象的だった。
屋久島とヒマラヤと共通するのは、人々を癒す地であるということ。
多分いろんな深さで。
私も何かは分からないが、やっぱり癒やされているということだけはわかる。
そんなことを考えながら、感じながら歩くのも好きだ。
花や苔や動物たちや小さな子供達に癒されるな。
今日は Jorsalleに泊まりたいロッジがあり無事にそこに到着した。
Nirvana Lodgeというお宿で、前回ここ食べたダルバートが感動的なおいしさだったので、もう一度食べたかったのだ。
という感じでいつもの如く食べ物目当てできたのだが、お宿としても大変良かった。
ロッジはいかにも簡単な作りのところが多いが、ここはロッジとは思えないちゃんとした建物。
お部屋も広々、ベッドも大きめ。
軽井沢にあるペンションのような感じだった。
トイレットペーパーが付いていたのには驚き。
そして、ダイニングに行くと薪ストーブをつけてくれて、ぬくぬくで気持ちよかった。
昨晩は11名も泊まっていたそうだが、この日は私だけ。
なんとも贅沢。
奥さんに、前回食べたダルバートがおいしくてまた来たよ、と伝えたら、少しお話しすることができて、
・今年は10月より11月の方が天気が良い。多分気候変動の影響だと思うとのこと。
・10月はフライトが欠航が多くてファプルから歩いた人が沢山いた。
・今年は飛行機は人は運んだのに食料(米など)が運ばれてこなくて困った。
・ガスの値段も値上がり。
・ラバが病気で沢山死んだので、物が上に上がってこなかった。
こんな話を聞くことができた。
DAY6 ジョルサレ(2800mくらい)→ ナムチェ(3440m)
暖かく、安心感もあり、くつろげるとても良い宿だったな。
ジョサレルからナムチェまではずーっと登り。
吊り橋も多くて怖い~。
なんとなく覚えている風景が時々あるけど、覚えていないところの方が多い。
登り坂の途中で コンデリが見えてきた。
かっこいいな。
朝なので下ってくる人が多くて、結構容赦ない感じでガンガン来るので、私も遠慮なく登っていく。
昨日から鼻呼吸か順調で良い感じ。
吐くことに意識を向けている。
松林の間をずっと歩いていてそろそろ飽きてきたなーって思っていたら、チェックポイント着。
何のためにチェックするのかよくわからないが、Nepal Policeだそう。確か前回もあった。
そして、ここまできたらもうすぐナムチェじゃなかったっけ?と思っていたら、林の奥に建物が見えた!
おー、ナムチェだ!
わーい、もうすぐだ♪
ナムチェに到着。
ジョルサレから3時間だった。
ナムチェでは評判の良いNirvana homeに泊まることにした。
人気と聞いたので、昨日電話で予約を入れていたのだが、今はそれほど混んでいない時期なので、空室はたくさんあったよう。
そして、すんばらしい山ビューのお部屋に案内してくれた♪
部屋の中は日がサンサンとさして暖かい。
そして、タムセルクがよく見えるのでテンション上がる。
充電とwifiが無料だったのが嬉しい。
ホットシャワーは500rp。
久しぶりのシャワーは最高に気持ちが良かった。
午後は丘の上のシェルパミュージアムへ。
シェルパの暮らしが再現されていて、色んな道具の説明もあった。
また別の建物にはシェルパの写真やエベレスト登頂者の写真がたくさん展示されていてなかなか面白かった。
更に、来年2023年5月にオープンするという新しいミュージアムも見せてくれて、一部写真は被っていたが、ネパールのヒーローNimalPurjaの展示もあり、最新情報が展示されていた。
この博物館のプロデューサーみたいなおじちゃんがいて、耳は聞こえないみたいなんだけど口の動きで何言っているか大体わかるようであった。日本人みたいな人。日本に住んでいたことがあるそう。
赤ちゃんと老人は日本人もシェルパも同じ顔だな。
続く
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