今回の旅で感じたことをまとめたいと思う。
全般に関して
今回は本当にラッキーだったと思う。
天気に恵まれたのと、サミットの日は私たちしかいなかったこと。
11月下旬で、そろそろシーズンも終わりという頃だったが、前日や翌日は10名程度はいたそうなので、
私たち以外誰もいない日に登れ、ロープ渋滞もなく、誰かを待たせるプレッシャーもなく、自分のペースで登れたのは本当にありがたかった。
そして、クサンの存在はとても大きい。
クサンがいたから、余計なストレスはなく過ごせたし、安心感は全然違ったと思う。
高地ではちょっとしたことでイライラしたり、精神的にダメージを受けて、それで簡単に体調も悪くなったりする。
そういうことがなかったのがとてもありがたかった。
クライミングに関して
初めてのクライミングをして、クライミングガイドのプロフェッショナルさに驚いた。
トレッキングガイドと全然違う。
私はガイドのアイゼンをつけるスピードの早さに惚れ惚れしてしまった。
これはすごい、とその所作を見て感じた。
私は日本でもクライミングをしたことがなかったので、何もかもが初体験の状態だった。
アイゼンを履いた雪山は数年前に行ったことがあったが、それでも慣れてはいなかったし、寒さや高度、傾斜が違ったので、全くの別物だった。
そんなので行ったのか?と呆れられてしまうかもしれない。
しかし、そんな人でも登らせてもらえるのがヒマラヤの魅力の一つなのかもしれない。
最初のステップとしてはとても良い環境だと思う。
装備がレンタルできるというのもありがたいし、手取り足取りで教えてもらえたのもありがたかった。
と同時に、次回はもう少し上達して臨みたいとも思った。
クライミング自体はとても楽しかった。
新しいことだったからかも知れないし、必死すぎて大変だったことが記憶から抜け落ちているからだけかも知れないが、歩くより息も上がらないし、腕が痛くなったけれど全体的には楽しかった。
標高が高くないところでもクライミングをやってみたい。
体力の限界
サミット後はびっくりするくらい、体力が限界を迎えていたことをひしひしと感じたわけだが、
その体力の限界を感じた体験は、私の中でとても大きなものだった。
これまで疲れた疲れたと思っても、体が動かなくなることはなかったが、
今回は体が全然いうことを聞かなくて、限界ってこういうことなのか、ということを知れた。
きっと体力メーターなるものがあったら、残量はほとんどゼロだったと思う。
しかし、限界と思ったことを体験すると、次回はそれを越えられそうな気がするから不思議なものだ。
食べるのが大好きな私が食べられなくなるというのも衝撃体験だった。
固形物が咀嚼できないほどの疲労ってすごい。
この時の疲労と比べたら、日頃疲れたって思ってもまだまだ力が残っていることがわかったし、
これだけの本気を出したらものすごいことをできるような気もした。
いかに普段本気で生きていないか、そんな風に感じた。
本気で生きたい。
ちなみに食べ物の反省を踏まえて、翌年は羊羹やナッツクリームを持って行った。
食べ物のこと
今回は、ハイキャンプで出してくれた食事を言われるがままいただいたが、もう少し軽食にしておいた方が良かったのかなと思う。
アタック前日、ハイキャンプに着いてからは絶対食べ過ぎだったし、ダルにお米を入れておじやみたいにして食べるくらいで良かったかも。
ちなみに私はベジタリアンで(その方が自分の体に合っている気がして)、日頃は卵もいただいていないのだが、
シェルパに、卵を食べた方が力が出ると言われたのでいただくことにしたのだが、本当に力が出たのかはわからなかった。
それから上記でも触れたが、行動食は大外れだった。
大好きなClifのエナジーバーも寒いところだと固くなって食べにくかったし、クッキーも咀嚼するのが大変だった。
そしてとても美味しく感じたのがマンゴジュース。
カロリーのあるフルーツジュースが実は良いのかもしれない。(昼間の暖かい時なら)
日本で売っている機能性食品は添加物がどうしても気になってしまう。(気持ち悪くなることもある)
寒いところでも凍らず、咀嚼しなくても摂取できるもの、そしてカロリーのあるもの。
何か良いものがあれば是非教えてください♡
私はお腹が空くと動けなくなったり集中力が途絶えたり、イライラしやすくなったりと、本当にダメなタイプで、
プラーナで生きていけたら良いのですが、食べ物に関しては重要でございます。
クライミングガイドについて
まず山のプロフェッショナルな人と一緒に登れたというのが嬉しかった。
そしてニマカンチャは、元お坊さんだからか、とても落ち着いていて静かなのが良かった。
ガイドに何を求めるかは人ぞれぞれだと思うが、私は常に話していて欲しいというのはないので、
信頼できる人かどうか、いざという時に頼れる人なのか、というのが一番重要だった。
そして、お経を唱えてくれていたのもかなり良かった。(そんなこと言う人は少なそうだが・・・)
あとネパール人に「ソーリー」と言われたの初めてかも。
彼らは「ありがとう」もあまり言わないが(助け合うのが当たり前なので)、「ごめん」も言わない。
まず時間通りには来ない、という印象だが、待たせておいても謝ることはまずない。
なので謝れる人ってすごい、と思ってしまった。
2日間なので全てがわかったわけではないけど、また別の山に行くときにお願いしたいと思った。
私は登山ガイドをしているので、どういうガイドが良いガイドなのか、というのを改めて考えさせられた体験でもあった。
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